2025.08.27
ブロックチェーン活用事例:金融以外の業界で起こる変革

こんにちは。株式会社インタードリームです。
弊社はオープンソースやデータベースを活用したWebシステム開発をはじめ、AI開発、産業用ロボット・IoTを活用した自動化システムインテグレーションなど、最先端の技術でお客様の「夢」を実現するパートナーとして日々邁進しております。
本ブログでは、弊社が取り組むテクノロジー業界に関する基本情報や最新トピックをご紹介いたします。
さらに各技術の背景や導入メリットについても丁寧に解説しております。
専門的な内容もできるだけ分かりやすい表現で説明し、技術に不慣れな方にもご理解いただけるよう努めております。
ぜひ最後までご覧いただき、弊社の取り組みをご確認いただければ幸いです。
この記事を読めば分かること
- 非金融分野で注目される理由がわかる
- 具体的な活用事例を知ることができる
- 現場システムとの連携や業務への導入イメージが持てる
- 導入前のよくある疑問に答えが見つかる
なぜ今ブロックチェーンは現場の業務で注目されているのか
ブロックチェーンと聞くと、仮想通貨の技術というイメージを持つ方も多いかもしれません。
しかし近年では「記録の正確性」や「改ざんの難しさ」といった特長が評価され、製造・物流・医療などさまざまな業界の業務現場で注目されるようになってきました。
とくに「確かな記録が求められる現場」において、従来のシステムでは対応しきれなかった課題に応える手段として、関心が高まっています。
現場で注目が高まる理由
ESGとサプライチェーンの透明性が求められている
ESGへの対応が企業評価に直結する今、サプライチェーン全体の透明性が求められています。
「どこで・なにを使って製造されたか」という履歴を正しく残すことが、国際取引や認証の前提になる場面も増えています。
ブロックチェーンを使えば、改ざんされない形で履歴を記録・共有でき、調達から納品までの信頼性を高められます。
品質保証や監査で求められる「記録の信頼性」
製造現場では、検査や点検の記録が製品の信頼性を支えています。「誰が・いつ・何をしたか」という記録は、監査や取引先への説明でも重要な根拠になります。
ブロックチェーンによって記録が確実に残ることで、証明や原因調査もスムーズに行えます。
属人化や「言った言わない」を防ぐ仕組みが必要とされている
記憶や経験に頼った業務は、記録の曖昧さや責任の不明確さを生みやすくトラブルの原因にもなります。作業履歴が残っていないと、属人化や「言った言わない」のリスクが避けられません。
ブロックチェーンで履歴を記録すれば、現場の判断や作業を“証拠”として共有でき、トラブル予防に役立ちます。
AI・IoTと組み合わせてデータを安全に残したい
現場ではAIやセンサーが日々多くのデータを生み出していますが、それを正しく保管できなければ意味がありません。あとから確認できる形で残すには、信頼性のある記録の仕組みが必要です。
ブロックチェーンと連携することで、AIやIoTのデータも信頼できる履歴として残すことが可能になります。
業務を支える“変えられない記録”の力
「検査は本当に行ったのか」「納品時間にズレはなかったか」といったやりとりが、現場で食い違うことは少なくありません。こうした曖昧な記録は、品質トラブルや信頼低下の原因にもなり得ます。
ブロックチェーンは、記録にタイムスタンプを付与し「誰が・いつ・何を登録したか」を明確に残す技術です。一度保存された内容はネットワーク全体で共有・監視され、あとから改ざんすることができません。つまり人の記憶に頼らず、信頼できるデータに基づいて業務を進めることが可能になります。
業務を動かす「スマートコントラクト」の力
スマートコントラクトとは、あらかじめ決めた条件がそろったときに、自動で業務処理を実行する仕組みです。ブロックチェーン上で動作するプログラムとして機能し、特定の条件が満たされると対応する処理がそのまま進行します。
例えば「検品が完了したら出荷を手配する」「一定の温度を超えたらアラートを送る」といった動作を、自動化することが可能です。人の判断や操作を介さないため、対応の遅れや作業ミスを防ぎ、業務全体の流れがスムーズになります。
インタードリームでは、こうしたスマートコントラクトの活用による業務自動化や、ブロックチェーンとの連携にも対応しています。「まずは試してみたい」といった段階からでも、お気軽にご相談ください。
様々な業界に広がる活用のかたち
現場の業務では「正確な記録」がますます重要視されています。履歴が曖昧だと、トラブル対応や品質保証に支障が出るケースも少なくありません。ブロックチェーンは、こうした情報を改ざんできない形で記録できるため、信頼性が求められる業務との相性が非常に良い技術です。ここでは3つの代表的な業界での活用例をご紹介します。
製造業
製造現場では、検査や点検といった品質管理の工程で「あとから履歴を確認できること」が重要です。
不具合が起きた際、検査の有無や内容を証明できなければ、対応が遅れ信頼を失う結果につながるおそれがあります。こうした背景から記録を確実に残すしくみが注目されています。
改ざん防止と履歴管理で品質保証を支える
検査データや設備点検の記録をブロックチェーンで管理することで、情報の改ざんを防ぎ、信頼性の高い履歴を残せます。品質保証や監査対応がしやすくなり、トレーサビリティ(製造履歴の追跡性)も向上します。
物流業
物流の現場では、入出荷や検品、配送状況の記録が業務の透明性を支えています。
例えば「いつどこで積まれたのか」「配送中に問題はなかったか」といった情報を正確に管理できないと、納品トラブルや責任の所在が曖昧になるリスクがあります。
履歴の一元管理でトラブルを防止
各工程の情報をブロックチェーンに記録することで、履歴の整合性が確保され関係者間での情報共有もスムーズになります。「どこで何があったか」が明確になるため、トラブルの防止や原因特定にも効果があります。
医療業界
医療の分野では、ワクチンの保管や薬剤の流通など、正確な履歴管理がそのまま安全性につながります。
温度管理や製造ロット、接種履歴などの記録は、患者の安全を守るうえで見過ごせません。
匿名性と透明性を両立した記録の仕組み
ブロックチェーンを使えば、匿名性を保ちつつ正確な履歴を記録できるため、安全性と説明責任を両立できます。製造から使用までの流れを一貫して可視化でき、現場の信頼性向上に貢献します。
活用が進む業種
- 自動車製造業
- 電機・電子部品製造業
- 食品加工業
- 医薬品製造業
- 物流・倉庫業
- 医療機器業
- 病院・クリニック
- 建設業
- リサイクル業
- 航空・空港関連業
このように、記録の信頼性や履歴の透明化が求められる業界を中心に、ブロックチェーンの活用は今後ますます拡大していくと期待されています。
ブロックチェーンを業務とつなぐには?システム連携のポイント
ブロックチェーンを業務に活用するためには「ただ記録する」だけではなく、現場の業務システムやIoT機器との適切な連携が欠かせません。一気に導入を進めるよりも、段階的に小さく始めて、現場との相性を確かめながら進めることが成功のポイントです。
ここでは導入前に考えておきたい連携の考え方と、導入を段階的に進めるステップを整理します。
ステップ1:目的を明確にする
導入の第一歩は、自社が抱える課題や改善したいポイントをはっきりさせることです。
「記録の改ざんを防ぎたい」「属人化を避けたい」「履歴の信頼性を高めたい」など、導入の目的を明確にすることで、対象業務や記録内容が具体的になります。
ポイント
課題を洗い出し「なぜブロックチェーンなのか」をチーム全体で共有しておくと、後の設計や関係部門との調整がスムーズに進みます。
ステップ2:活用形式を選ぶ
ブロックチェーンを業務に取り入れる際は、目的や運用体制に応じて、最適な仕組みを選ぶことが重要です。「パブリック型」「プライベート型」「コンソーシアム型」があり、それぞれ情報の共有範囲や運用の自由度が異なります。
ブロックチェーンに関して詳しく紹介している記事もぜひご参照ください。
>ブロックチェーンの基礎:分散型技術がもたらす新たな信用モデル
ポイント
「誰と情報を共有するか」によって適した形式が変わります。社内だけで使うならプライベート型、他社と取引履歴を共有したい場合はコンソーシアム型が有効です。
ステップ3:業務フローと接続する
どの工程のどのデータを記録するかを整理し、既存業務との接続点を明確にしておきましょう。
記録のタイミング、デバイスの種類、記録の粒度といった要素を整理しておくことで、現場での負担も抑えられます。
ポイント
センサーやカメラ、倉庫管理のシステムなどとつなげるには、情報をやり取りする方法をあらかじめ決めておくことが大切です。「API」や「CSVファイル」などを使えば、現場の機器とブロックチェーンが
スムーズにつながり、無理なく導入を進められます。
ステップ4:PoC(試験導入)で検証する
まずは対象業務を絞って試験導入し、現場との相性や使い勝手を確認します。
ブロックチェーンの技術的優位性よりも、「現場が運用できるか」「効果が実感できるか」が重要です。
ポイント
PoCでは記録精度だけでなく、業務フローにどれだけフィットするかも確認しましょう。関係者のフィードバックをもとに改善を重ねる姿勢が大切です。
ステップ5:本番導入と体制整備
PoCでの結果をふまえて、本格的な導入へ進みます。
運用の安定性と将来の拡張性を考慮した体制づくりが重要です。
ポイント
記録対象の拡大、業務の変化、システム更新などを見据えて、社内のIT部門やパートナーとの連携体制を整えておくとスムーズな拡張につながります。
Q&Aで解決:よくある疑問にお答えします
Q1. ブロックチェーンって、仮想通貨や金融のための技術では?
もともとは金融の分野で注目されましたが、今では製造・物流・医療など、「記録の信頼性」が求められる業務で広く活用が進んでいます。
Q2. 中小規模の工場や会社でも導入できますか?
もちろん可能です。
最初は一部の業務で試す「小さな導入」から始めるのが一般的で、無理なくスモールスタートできます。
Q3. 既存のシステムや仕組みを全部変えないといけませんか?
その必要はありません。
今お使いの検査機器や倉庫管理システム(WMS)などと連携して、一部の工程だけに導入することも可能です。
Q4. 記録したデータは、外部から誰でも見れるのでしょうか?
情報の公開範囲は自由に設計できます。
関係者だけが見られるように制限することができます。
Q5. セキュリティ面や、日々の運用が大変にならないか心配です
ブロックチェーンは構造上、改ざんが非常に難しく、安全性の高い技術です。
設計や運用の工夫次第で、現場でも扱いやすくできます。
Q6. 導入には高額なコストがかかるのでしょうか?
必ずしも高額な設備投資が必要というわけではありません。
まずは効果を試しながら段階的に進めることで、コストを抑えながら導入できます。
Q7. スマートコントラクトは実際に現場で使えるものですか?
はい、使えます。
例えば「検品が終わったら自動で出荷手配をする」といった処理を自動化でき、作業の標準化やミスの防止にも役立っています。業務フローに組み込みやすく、現場での活用が進んでいます。
まとめ:ブロックチェーン活用を自社に活かすために
ブロックチェーンは、もはや金融だけの技術ではなく、現場の業務にも活かせる実用的な手段として注目を集めています。記録を正確に、かつ改ざんされない形で残せるこの仕組みは、品質保証や説明責任を支える強力な土台になります。
ただし導入を成功させるには、「何のために、どの工程に適用するか」を見極めることが不可欠です。
すべてを一度に変えるのではなく、小さな業務から一歩ずつ始めていくことで、着実に成果につなげることができます。
専門家サポート
インタードリームでは、AI開発を支援するプラットフォーム「ID ZERO」を通じて、AIやIoTから得られるデータの活用も含めたブロックチェーン導入のご相談に対応しています。
業務内容や目的に応じて、「何を、どの工程で記録すべきか」といった導入設計の初期段階から、丁寧にサポートいたします。
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