2025.09.10

マルチクラウドとハイブリッドクラウドの基礎:選び方とメリット

マルチクラウドとハイブリッドクラウドの基礎:選び方とメリット

こんにちは。株式会社インタードリームです。

弊社はオープンソースやデータベースを活用したWebシステム開発をはじめ、AI開発、産業用ロボット・IoTを活用した自動化システムインテグレーションなど、最先端の技術でお客様の「夢」を実現するパートナーとして日々邁進しております。

本ブログでは、弊社が取り組むテクノロジー業界に関する基本情報や最新トピックをご紹介いたします。
さらに各技術の背景や導入メリットについても丁寧に解説しております。
専門的な内容もできるだけ分かりやすい表現で説明し、技術に不慣れな方にもご理解いただけるよう努めております。

ぜひ最後までご覧いただき、弊社の取り組みをご確認いただければ幸いです。

この記事を読めば分かること

  • マルチクラウドとハイブリッドクラウドの基本的な違いがわかる
  • それぞれのメリットと使い分けのポイントを整理できる
  • 自社に合うクラウド戦略の選び方が見えてくる
  • 導入前に気をつけるべき注意点が把握できる

マルチクラウドとハイブリッドの違い

クラウドサービスの普及が進む中で「マルチクラウド」と「ハイブリッドクラウド」という言葉を目にする機会が増えてきました。ですが、言葉の印象が似ていることもあり、違いをうまく説明できないという方も多いのではないでしょうか。

クラウドを活用しはじめた中小企業や、今後導入を検討している企業の中でも「自社の使い方はどっちに当てはまるの?」「どう選べばいいのか迷う」といった声が少なくありません。

以下ではマルチクラウドとハイブリッドクラウドの定義や活用戦略について、実務に役立つ視点で整理していきます。

マルチクラウドとは?

マルチクラウドとは、複数のクラウドベンダー(例:AWS、Google Cloud、Azureなど)のサービスを用途や目的に応じて使い分ける運用方法です。

例えば、画像解析にはGoogle CloudのAIサービスを使い、バックアップやストレージにはAWSを利用するといったように、ベンダーごとの強みを活かして組み合わせる形が一般的です。

ハイブリッドクラウドとは?

ハイブリッドクラウドとは、オンプレミス(社内サーバーなど)とクラウドサービスを連携させる構成のことを指します。

例えば、社内の基幹システムや機密性の高いデータはオンプレミスに残しつつ、営業部門の業務アプリはクラウド上で動かすといったケースです。
製造業や医療業界など、一定のシステムやデータを社外に出せない事情がある企業でよく採用されています。

マルチクラウドとハイブリッドクラウドは、構成の目的も前提も異なるクラウド戦略です。
どちらが優れているというよりも「自社のシステム環境や目的に合っているかどうか」が判断の軸になります。

2つのクラウド戦略のメリット

マルチクラウドとハイブリッドクラウドは、どちらも魅力的な戦略ですが目的や運用体制によって得られるメリットは異なります。

マルチクラウドの主なメリット

ベンダーロックインの回避

特定のクラウド会社(AWSやGoogle Cloudなど)だけに頼らずにすむため、料金の値上げやサービス内容の変更といったリスクを避けやすくなります。
必要に応じて他のクラウドサービスに乗り換えたり、組み合わせて使ったりできるのが大きなメリットです。

サービスごとの強みを活用

AIや機械学習にはGoogle Cloud、安定したストレージやシステム基盤にはAWSといったように、それぞれのクラウドが得意とする分野に合わせて使い分けができます。
これにより、より高い性能とコスト効率を両立できます。

障害リスクの分散

万が一、1つのクラウドで障害やシステムトラブルが発生した場合でも、他のクラウドサービスで業務を継続できる体制を構築できます。
業務停止やサービスダウンのリスクを大きく減らせる点は、BCP(事業継続計画)の観点でも重要です。

ハイブリッドクラウドの主なメリット

段階的なクラウド移行が可能

既存のオンプレミス(社内サーバー)環境を活かしながら、必要な部分から少しずつクラウドに移行できます。
システム全体を一度に刷新する必要がないため、コストやリスクを抑えつつ、現場の運用にも無理なく対応できます。

セキュリティや法令対応の柔軟性

顧客情報や重要データなどを社内に残し、その他をクラウドで運用することで、情報漏洩のリスクを軽減できます。
医療・金融・製造業など、法規制や社内ポリシーが厳しい領域でも安心して活用できる点が大きな利点です。

設備との連携がしやすい

工場の制御システムやエッジ端末とのリアルタイムな連携が必要な場合、オンプレミス環境を残すことでネットワーク遅延や信頼性の課題をクリアできます。
クラウドと現場システムを組み合わせることで、安定した制御やデータ収集が可能になります

どちらを選ぶ?判断の視点

クラウド戦略に「これが正解」という答えはありません。
大切なのは、自社の目的や環境、体制に応じて最適な構成を見極めることです。

目的から考える

マルチクラウド

用途に応じて最適なクラウドサービスを選び分けたい場合に適しています。

ハイブリッドクラウド

一部業務から段階的にクラウド化を進めたい場合に有効です。

今あるIT環境から考える

マルチクラウド

既存のシステム資産が少なく、クラウド中心で新たに構築したい場合に適しています。

ハイブリッドクラウド

オンプレミス資産を活かしたい、また設備との連携が重視される場合に向いています。

社内の体制から考える

マルチクラウド

クラウドベンダーごとの管理に対応できるチームがある場合に適しています。

ハイブリッドクラウド

小規模チームでも集中管理しやすい構成を望む場合におすすめです。

セキュリティとコンプライアンスから考える

マルチクラウド

データの分散や冗長構成によって、安全性を高めたい場合に効果的です。

ハイブリッドクラウド

機密性の高い情報を社内で厳密に管理したい場合に安心して使えます。

コストと運用負荷から考える

マルチクラウド

サービスごとのコスト最適化を図りたい場合に有効です。

ハイブリッドクラウド

導入時の構築・運用負担を抑え、スモールスタートしたい場合に向いています。

事業継続・障害対応の観点から考える

マルチクラウド

障害時のリスク分散や、サービス停止への強さを重視する構成に適しています。

ハイブリッドクラウド

通信制約や設備要件がある中でも安定した稼働を目指したい場合に有効です。

クラウド活用のための運用ステップ

クラウド戦略は導入して終わりではなく、安定して使い続けるための運用体制の整備が欠かせません。
ここでは導入後を見据えたステップと、事前に押さえておきたいポイントを紹介します。

ステップ1:目的に応じた構成を設計する

導入前に最も大切なのが「何のためにクラウドを使うのか」を明確にすることです。
用途によって最適なサービスは異なり、構成も変わってきます。
例えば「リアルタイムでのデータ連携」が目的であればエッジ連携に強いハイブリッド構成を「高性能な画像解析」が目的であればAIサービスに強いクラウドベンダーを選ぶマルチクラウド構成が向いています。

注意点

用途や予算を整理せずに導入を急ぐと、後からサービスの見直しや構成変更が発生しかえって負担が増すケースもあります。

ステップ2:セキュリティ・ネットワークを設計する

クラウド導入で見落とされがちなのが、社内ネットワークとの整合性やセキュリティ設計です。通信の安定性やデータの暗号化、アクセス権限の管理などは、初期設計段階でしっかり構築しておく必要があります。
特にオンプレミスとクラウドを併用するハイブリッド構成では、接続部分の安全性と速度が業務影響に直結します。

注意点

クラウドベンダー任せのセキュリティでは、自社のリスクに対応しきれないこともあります。独自の対策ポリシーを持つことが重要です。

ステップ3:管理と保守の体制を整える

複数クラウドやオンプレ併用の運用では、継続的なモニタリングとトラブル対応が求められます。
管理ツールで稼働やコストを可視化し、障害時の連絡体制やバックアップも平時から整えておきましょう。

注意点

異なるクラウドを併用する場合、それぞれの管理方法や仕様に違いがあるため、運用の複雑化に注意が必要です。できるだけ統一的に管理できるツールや運用ルールを導入し、属人化を避ける工夫が求められます。

ステップ4:段階的に導入し、検証しながら進める

最初から全システムを一気に移行するのではなく、スモールスタートで始めるのがクラウド導入の基本です。
例えば、影響の少ない業務アプリからクラウド化を始め接続性や処理性能、運用負荷を検証したうえで、結果をもとに他のシステムへと広げていくのが理想です。

注意点

早く成果を出そうと急ぎすぎると、見落としやトラブルが発生しやすくなります。段階的・柔軟な導入が、長期的な成功につながります。

このようにクラウド活用は「設計 → セキュリティ構築 → 管理体制づくり → 段階的導入」という流れで進めることが重要です。特にマルチクラウドやハイブリッドクラウドのような高度な構成では、導入時の設計と運用体制の整備が成否を分けるポイントとなります。

Q&Aで解決:よくある疑問にお答えします

Q1. マルチクラウドとハイブリッドクラウドの違いは?

マルチクラウドは、複数のクラウドサービスを組み合わせて使う形です。
一方、ハイブリッドクラウドは、クラウドと社内システム(オンプレ)をつなげて使います。

Q2. 中小企業でもマルチクラウドは必要ですか?

 必ずしも必要ではありません。
業務内容によっては、1社のクラウドで十分な場合もあります。

Q3. ハイブリッドにすれば社内サーバーは不要ですか?

ハイブリッドは、社内のサーバーとクラウドを連携させて活用する使い方です。
サーバーの役割を残すことを前提に考えます。

Q4. セキュリティはどちらが安心ですか?

どちらも運用の仕方次第です。
特に機密情報が多い場合は、社内管理もできるハイブリッドが安心です。

Q5. 将来の切り替えに強いのはどちらですか?

マルチクラウドは分散できるため、クラウドの移行や切り替えにも柔軟に対応できます。
クラウドに依存しすぎない構成にしたい場合に向いています。

Q6. 管理が難しくなりませんか?

 マルチクラウドはサービスが増える分管理はやや複雑になります。
導入前にルールや運用方法をしっかり決めるのがポイントです。

Q7. AIもクラウドで動かせますか?

画像認識やAPI処理などAIもクラウド上でスムーズに活用できます。
ID ZEROのようなAI機能もクラウドを通じて柔軟に運用可能です。

Q8. 何から始めたらいいですか?

 まずは今のIT環境を棚卸しすることからスタートしましょう。
そのうえで「何をクラウド化したいか」を明確にするのが大事です。

まとめ:クラウド戦略を自社に活かすために

マルチクラウドやハイブリッドクラウドは、業務の柔軟性や安定性を高める有効な手段です。
ただし自社に合わない選択をしてしまうと、かえって管理の複雑化やセキュリティ面でのリスクを招くこともあります。
大切なのは「なぜクラウドを使いたいのか」「何を任せて、何を手元に残すのか」を明確にし、自社に合ったバランスで設計・運用していくことです。

まずは現在のIT環境を見直し、自社に最適なクラウド活用の形を探るところから始めてみましょう。

専門家サポート

インタードリームの「ID ZERO」では、業務フローやシステム全体を踏まえた上で、無理のないクラウド活用を進めるご相談・支援を行っています。

マルチクラウドやハイブリッドクラウドの導入においては、構成や技術の選定から運用体制の整備までを含めて現場に即したサポートを提供しています。

お問い合わせのご案内

弊社では、マルチクラウドやハイブリッドクラウドの導入に向けて、構成設計から運用・セキュリティまで一貫した実践的サポートをご提供しています。
「どちらを選べばいいのか迷っている」「自社に合ったクラウド構成を相談したい」といったお悩みも、ぜひ当社Webサイトのお問い合わせフォームからご相談ください。

プロのサポートを活用することで、自社に最適なクラウド環境を構築でき、安定した運用とセキュリティ強化を同時に実現できます。

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株式会社インタードリームは常にお客様との対話を大切にし、技術とアイデアを融合させることで業界の先端を走るサービスを提供しております。

オープンソースを基盤としたシステム開発、AIやロボット、IoTを駆使した自動化ソリューション、そしてWebシステムの保守運用など、多岐にわたる分野で実績を積み重ねております。

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