2025.06.11
クラウドネイティブの基礎:マイクロサービスとコンテナの基本概念

こんにちは。株式会社インタードリームです。
弊社はオープンソースやデータベースを活用したWebシステム開発をはじめ、AI開発、産業用ロボット・IoTを活用した自動化システムインテグレーションなど、最先端の技術でお客様の「夢」を実現するパートナーとして日々邁進しております。
本ブログでは、弊社が取り組むテクノロジー業界に関する基本情報や最新トピックをご紹介いたします。
さらに各技術の背景や導入メリットについても丁寧に解説しております。
専門的な内容もできるだけ分かりやすい表現で説明し、技術に不慣れな方にもご理解いただけるよう努めております。
ぜひ最後までご覧いただき、弊社の取り組みをご確認いただければ幸いです。
この記事を読めば分かること
- クラウドネイティブの基礎知識を学べる
- マイクロサービスとコンテナの基本概念が分かる
- システム運用の柔軟性や拡張性を高めるヒントが得られる
- 導入にあたっての不安や疑問を事前に解消することができる
クラウドネイティブの基礎知識を学ぶ
クラウドネイティブとは、クラウド環境を最大限に活用し、効率的で柔軟なシステムを開発・運用する手法です。この手法では、システムを小さな単位に分けて、それぞれの機能を独立して動かすことで、迅速な改善や新機能の追加が可能になります。市場の変化に迅速に対応できるため、企業の成長を支える重要な基盤となります。
特徴
柔軟にリソースを増減できる
クラウドネイティブでは、システムの利用状況に応じてリソース(サーバーやデータベースなど)を自動的に増やしたり減らしたりできます。
例えば、急にアクセスが増えても、必要なだけリソースを増やして、スムーズに処理を行えます。逆に、利用が少ないときにはリソースを減らすことができ、無駄なコストを抑えることができます。
すばやく開発・改善できる
システムを小さな部分(マイクロサービス)に分けることで、それぞれの部分を独立して開発・運用できます。これにより、全体を止めることなく、新しい機能を追加したり、既存の機能を改善したりすることが可能です。
例えば、商品ページのデザインを変更したいとき、他の部分に影響を与えずに変更できます。
安定して動く
システムが複数の独立したサービスで構成されているため、ある部分に問題が起きても、他の部分は影響を受けずに動き続けます。
例えば、注文システムに障害が発生しても、決済システムや配送管理システムには影響を与えません。このように、サービスの信頼性が高く、ダウンタイムを最小限に抑えられます。
すぐに新しい機能を提供できる
クラウドネイティブでは、コードの変更が即座に本番環境に反映される仕組みが整っています。これにより、新しい機能や修正をすぐにお客様に提供でき、ビジネスの変化に迅速に対応できます。
例えば、新しい支払い方法を導入する場合、すぐにシステムに反映させて、ユーザーに提供することができま
クラウドネイティブを活用した事例
クラウドネイティブを活用すると、業務やビジネスに役立つ変化が生まれます
以下は、配送業でクラウドネイティブを導入前と導入後でどう違うかを示す一例です。
導入前
配送業では、荷物の集荷、配達ルートの最適化、配送員の管理などが一つのシステムで運用されていることが多く、急に荷物が増えるとシステムが処理しきれなくなり、配達に遅れが出ることがあります。
また、配送ルートを変更したり新しいサービスを追加する際、システム全体を停止する必要があり、その間、サービスが一時的に使用できなくなります。
導入後
クラウドネイティブを導入すると、集荷管理、ルート最適化、配送員管理などの機能が独立したサービス(マイクロサービス)として運用されます。これにより、急な荷物の増加時には必要な部分だけの処理能力を強化でき、他の機能に影響を与えずにスムーズに配送を行えます。また、配送ルートの変更や新しいサービスの追加も、システム全体を停止することなく、必要な部分だけを更新してサービスを継続できます。
マイクロサービスとコンテナの基本概念
クラウドネイティブな仕組みを支えるものとして、マイクロサービスとコンテナという技術があります。これらを取り入れることで、柔軟に設計や運用を進めることができ、企業の成長や環境の変化に合わせて、システムを無理なく拡張していくことが可能になります。
マイクロサービス
マイクロサービスは、従来の大規模な単一のシステム(モノリシックアーキテクチャ)を小さなサービスに分割し、それぞれが独立して動作する仕組みです。この仕組みにより、システムの開発・運用が効率化され、市場の変化に柔軟に対応できます。
特徴
- 従来の一体型の仕組みを小さなサービスに分け、それぞれを独立して運用することで、開発や運用の効率が大幅に改善される。
- 個々のサービスが独立して動作・更新できるため、システム全体を止めずに新機能を追加できる。また、一部に障害が発生しても他のサービスには影響を与えず、システム全体の安定性が維持される。
コンテナ
コンテナは、アプリケーションとその必要な部分をまとめて、軽い単位で実行できる技術です。
仮想マシンよりも速く起動し、リソースを少なく使うため、効率的に運用できます。また、開発環境から本番環境まで同じ設定で実行できるので、環境ごとの差異による問題を防ぎ、アプリケーションのテストやデプロイ(本番環境への導入)がスムーズに進みます。
特徴
- 仮想マシンより軽く速く起動できるため、リソースを少なく使って効率よく運用でき、必要な時にすぐ拡張して素早くデプロイできる。
- 開発環境と本番環境で同じ設定で動くため、環境の違いによる問題がなくなる。これにより、「動くはずなのに動かない」という問題が減り、アプリケーションの動きが安定する。
- クラウド環境では、コンテナを柔軟に増減させ、アクセスの増減や負荷の変動に対応しながら、必要に応じてリソースを調整して効率的に運用できる。
クラウドネイティブ技術の活用例
製造業のIoTシステム
製造業では、機械やセンサーから収集したデータをリアルタイムで分析するために、クラウドネイティブ技術を活用しています。これにより、機器の稼働状況を把握し、予防保守や業務効率の向上を実現しています。インタードリームの「ID ZERO」技術を用いることで、製造ラインの監視システムが常に最新の状態で運用され、ダウンタイムの予測と回避が可能となり、生産性を大幅に向上させます。
中小企業向けWebシステム開発
クラウドネイティブ技術を活用したWebシステム開発により、リソースの拡張が非常に簡単になり、急激な変化にも柔軟に対応できます。利用者数が急増した際も、システムをスムーズに拡張でき、サービスが安定して提供されます。このような対応が、顧客のニーズに迅速に応え、企業の成長を支える要因となっています。
オンラインショッピングシステムの運用効率向上
クラウドネイティブ技術を活用したオンラインショッピングシステムでは、セールやキャンペーン時にリソースを迅速に拡張し、需要が急増するピーク時でもサービスの安定性を維持できます。また、各サービスが独立しているため、新商品の追加や機能更新が速やかに行え、競争力を保ちながら顧客の購買体験を向上させています。
これらの事例からわかるように、クラウドネイティブ技術は、ビジネスの成長や市場の変化に柔軟に対応するための重要なツールです。限られた環境でもしっかり成果を出せるため、コストを抑えつつサービスの質を保ち、企業の成長や競争力の向上にもつながります。
クラウドネイティブ導入のメリットと注意点
メリット
柔軟な拡張性
クラウドネイティブなシステムは、リソースの追加や削減が簡単にでき、アクセス量の増加や急激な変化に自動で対応できます。システムダウンや遅延を防ぎ、機会損失を最小限に抑えることができます。
開発スピードの向上
コンテナを活用することで、開発環境と本番環境を統一でき、アプリケーションのテストからデプロイまでがスムーズに進みます。各サービスの独立性により、新機能の追加や更新が迅速に行えます。
障害に強い安定運用
各サービスが独立して動作するため、障害が発生しても他のサービスに影響を与えず、システム全体の安定性を保ちます。これにより、重要なサービスのダウンリスクが大幅に低減します。
注意点
システムの複雑化
小さな構成要素が増えることで、管理や監視が複雑化し、システム全体の把握が難しくなることがあります。
対策
- システム全体を把握するために、構成要素ごとの文書化を徹底し、チーム間での情報共有を密に行う。
- システム設計時に、複雑さを軽減するためのフレームワークやツールを導入し、管理体制を強化する。
機能間の連携とセキュリティ
多くの機能が連携して動作するため、障害が発生する可能性も増え、セキュリティ管理が分散するためリスクが広がります。
対策
- 各機能間の連携を明確にし、トラブルシューティングの体制を整える。
- セキュリティポリシーを各サービスに個別に適用し、監視体制を強化します。
- 通信管理を一元化する仕組みを活用することで、セキュリティ対策や障害対応が簡単になる。
コスト管理の難しさ
リソースのスケーリングが容易である反面、予期しないトラフィック増加や急拡大により、運用コストが予想以上に増加することがあります。
対策
- コスト管理ツールを導入し、リソース使用状況を可視化する
- 定期的にコスト分析を行い、リソースの最適化を図る
- オートスケーリングを活用し、過剰なリソース使用を避ける
Q&Aで解決:よくある疑問にお答えします
Q.1クラウドネイティブとは何ですか?
クラウドネイティブとは、クラウド環境を活用してアプリケーションを開発・運用する方法で、スケーラビリティや柔軟性、効率性を重視します。システムを小さな単位に分割し、各機能を独立して運用することが特徴です。
Q.2クラウドネイティブに必要な技術は何ですか?
クラウドネイティブには、コンテナ技術とマイクロサービスアーキテクチャが重要です。
Q.3マイクロサービスとは何ですか?
マイクロサービスは、システムを複数の独立したサービスに分けて構築・運用する方法です。
各サービスは独立して動作し、変更やアップデートが迅速に行え、システム全体の柔軟性と可用性を高めます。
Q.4コンテナとは何ですか?
コンテナは、アプリケーションとその依存関係を一つの単位としてまとめ、どこでも実行可能な技術です。起動が速く、リソースの消費が少ないため、効率的に運用できます。
Q.5クラウドネイティブの利点は何ですか?
クラウドネイティブの利点は、システムのリソースを簡単に増減でき、迅速にアップデートできる点です。これにより、市場の変化にすぐに対応でき、高い可用性を維持しながら、効率的な運用が可能となり、企業の競争力が高まります。
Q. 6クラウドネイティブはコスト面でどんなメリットがありますか?
クラウドネイティブでは、必要なリソースだけを使うため、過剰なインフラ投資を避けることができます。リソースを柔軟にスケールアップ・ダウンできるため、無駄なコストを削減し、運用コストの最適化が可能です。
Q.7クラウドネイティブを導入する際のリスクは何ですか?
クラウドネイティブ導入におけるリスクとしては、運用初期の安定性の問題や、既存システムとの統合が難しいことがあります。しかし、適切なプランニングと段階的な導入によって、これらのリスクを最小限に抑えることができます。
Q.8クラウドネイティブ導入で、セキュリティ対策の負担は増えませんか?
運用の工夫次第で負担を軽減できます。アクセス制御や監視ツールを組み合わせることで、手間をかけずに広い範囲のセキュリティを確保でき、社内リソースの最適化にもつながります。
まとめ:ビジネス成長を支えるクラウドネイティブの力
クラウドネイティブは、これからのビジネスに欠かせないシステムの考え方です。
マイクロサービスとコンテナという2つの技術を組み合わせることで、企業の成長に合わせて柔軟に拡張でき、変化の激しい市場にもスピーディに対応できる仕組みを実現します。障害への強さや、開発スピードの向上、コストの最適化といった多くのメリットがあり、ビジネスの継続性と競争力の向上につながります。
自社の目的や課題に合わせて柔軟に取り入れていくことが、クラウドネイティブを活用する上で重要なポイントです。
専門家サポート
クラウドネイティブの導入は、企業にとって大きな転換点となりますが、その複雑さから導入支援が重要です。
インタードリームでは「ID ZERO」を活用し、クラウドネイティブ環境の設計から運用、さらには将来的な拡張や技術対応までトータルにサポートいたします。
お問い合わせのご案内
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