2025.08.27

ITインフラ自動化の基礎:Infrastructure as Code(IaC)とは

ITインフラ自動化の基礎:Infrastructure as Code(IaC)とは

こんにちは。株式会社インタードリームです。

弊社はオープンソースやデータベースを活用したWebシステム開発をはじめ、AI開発、産業用ロボット・IoTを活用した自動化システムインテグレーションなど、最先端の技術でお客様の「夢」を実現するパートナーとして日々邁進しております。

本ブログでは、弊社が取り組むテクノロジー業界に関する基本情報や最新トピックをご紹介いたします。
さらに各技術の背景や導入メリットについても丁寧に解説しております。
専門的な内容もできるだけ分かりやすい表現で説明し、技術に不慣れな方にもご理解いただけるよう努めております。

ぜひ最後までご覧いただき、弊社の取り組みをご確認いただければ幸いです。

この記事を読めば分かること

  • IaCとは何か、ITインフラ自動化の基本がわかる
  • IaCを導入すると運用がどう変わるかイメージできる
  • 導入の進め方と気をつけたいポイントを理解できる
  • IaCが実際にどんな場面で使えるかヒントが得られる

ITインフラ自動化とIaCの基本知識

システムの安定運用や迅速な対応は、いまや企業の競争力に直結する重要なポイントとなっています。
特にクラウドの普及やリモートワークの広がりにより、ITインフラには、これまで以上の柔軟性とスピードが必要とされるようになりました。

こうした流れの中で、関心が高まっているのが「ITインフラの自動化」です。
作業の効率化やミスの削減を目指して、構成管理を自動化する動きが広がりつつあります。

Infrastructure as Code(IaC)とは?

ITインフラ自動化の中心的なアプローチとして、多くの企業で導入が進んでいるのが「Infrastructure as Code(IaC)」です。
IaCは、サーバーやネットワーク、ストレージなどの構成を手作業やGUI操作ではなく「コード(=設定ファイル)」として記述・管理する考え方です。

例えば「Webサーバーの立ち上げ → ファイアウォールの設定 → アプリケーションのデプロイ」といった一連の構築作業を、コードにまとめて自動実行できるようになります。
このコードは再利用や共有が容易で、誰が実行しても同じ環境を短時間で構築できるのが大きな特長です。

誰でも同じ環境を再現できる、広がるIaCの可能性

IaCはITインフラの属人化を防ぎ、作業ミスを減らしながら、誰でも同じ環境を再現できる「再現性」を実現する手段です。特定の人に依存しない運用体制の実現や、障害発生時の迅速な復旧にもつながります。

さらにIaCの考え方は、企業の規模や業種を問いません。拠点の数が多い企業、頻繁にシステム変更が発生するチーム、限られた人員でインフラ管理を担っている現場など「時間が足りない」「安定させたい」「作業を標準化したい」といった課題に向き合っている組織すべてに、有効なアプローチです。

インフラを手作業で管理する時代から、コードで運用を支える時代へ。IaCはその変化を支える、実用的で柔軟な手段と言えるでしょう。

IaCがもたらす運用の安定と効率アップの効果

再現性のある構成でミスを防止

IaCを導入すると、まず「作業の再現性」が確保されます。コードで定義された手順は常に同じ動作をするため「以前と同じ構成で環境を作ってほしい」といったニーズにも確実に応えられます。

バージョン管理による設定の可視化とトラブル対応

Gitなどのバージョン管理ツールと組み合わせることで「誰がいつ、どのように設定を変えたか」が明確になります。その結果、設定変更による障害の原因を素早く追跡でき、改善もスムーズに進みます。

自動化による業務効率の向上

運用作業の多くが自動化されることで、定型作業に追われていたインフラ担当者の負担が軽くなります。その結果、トラブル対応や運用改善といった本来注力すべき業務に集中できるようになります。

オンプレミスやIoT現場にも応用可能

IaCはクラウド環境だけでなく、オンプレミス環境にも適用可能です。ネットワーク構成や仮想マシンのセットアップも自動化できるため、運用の柔軟性が高まります。

これらの効果は、日々の運用現場で確実に実感できる変化です。
「誰でも同じ手順で環境を構築できる」「設定変更の履歴をすぐ確認できる」といった小さな安心が、システム全体の安定性やトラブル対応力につながっていきます。

IaC導入のステップと注意したいポイント

ステップ1:導入対象を決める(クラウド or オンプレ)

まずは「どこに」IaCを導入するかを決める必要があります。
例えば、クラウド環境かオンプレミス環境か、対象はサーバーかネットワーク機器かなど、範囲を明確にします。

注意点

対象を広げすぎると初期設計が複雑になります。最初は限られた範囲に絞り、小さな単位で成功体験を積むことが重要です。

ステップ2: IaCツールを選定する

代表的なツールとしては、クラウド全体の構成管理に適した「Terraform」、サーバーの設定作業に強い「Ansible」、コードの柔軟性が高い「Pulumi」、AWS専用の「CloudFormation」などがあります。
現場の目的やスキルに応じて選ぶことが重要です。

注意点

ツールによって得意・不得意があります。選定前に比較検討し、試用して感触を確かめることをおすすめします。

ステップ3:現行環境の構成を調査・整理する

現在のシステム環境がどのように構成されているかを詳細に把握することが重要です。
具体的には、サーバーやネットワークの設定、ソフトウェアの依存関係などを調査し、全体像を明確にします。この作業によって、コード化すべき範囲や優先順位を判断しやすくなります。

注意点

現場によっては構成をまとめたドキュメントが存在しないことも多く、情報収集には時間や労力がかかることがあります。関係者同士で情報を共有し、認識を合わせるためのミーティングやワークショップを設けることが成功の鍵です。

ステップ4: テスト環境でコード化と自動構築を試す

IaCの導入は、まず本番環境ではなくテスト環境で行うことが基本です。テスト環境で動作を確認し、問題点や改善点を洗い出すことで、安全に本番適用へと進められます。

注意点

本番環境とテスト環境の差異は、予期せぬトラブルの原因になります。環境差をできるだけ小さくし、繰り返しテストを行って安定を確認しましょう。

ステップ5:コード管理ルールを整備する

IaCのコードは複数人で扱うことが多いため、命名規則やディレクトリ構造、コードレビューの体制など、管理ルールを事前に定めておくことが重要です。これにより、コードの可読性や保守性が向上し、運用の一貫性が保たれます。

注意点

ルールが曖昧だったり統一されていないと、属人化が進みやすくなり、トラブルの原因になります。プロジェクトの初期段階でしっかり話し合い、共通認識を作ることが成功のポイントです。

ステップ6:本番環境へ段階的に展開する

テスト環境で十分に動作確認ができたら、本番環境への適用を開始します。初めからすべての機能や拠点に一気に適用するのではなく、段階的にフェーズを分けて進めることが重要です。

注意点

一度に大規模な変更を行うとリスクが高まります。機能単位や拠点ごとに順番に展開し、不具合の早期発見や対応ができる体制を整えましょう。

IaCの実践活用例から学ぶヒント

IaCがどのような現場で使われているのか、イメージが湧きにくいという方も多いかもしれません。
ここでは、実際に多くの企業でスモールスタートとして選ばれている活用パターンをご紹介します。

テスト環境の構築ミスを防止

開発チームで手作業だったテスト環境の構築ミスや手戻りを、IaC活用で解消。
コード化により環境構築を自動・再現可能にし、開発効率を向上させました。

拠点ごとのネットワーク設定を一元管理

複数拠点のネットワーク設定のばらつきや履歴管理課題に対し、IaC導入でコードとして管理。
設定の標準化・可視化が進み、運用の安定化に成功しています。

IoT端末の展開作業を効率化

20台以上のIoT端末設置で発生していた設定作業の負荷やミスを、IaCでコード化。
作業時間を半減し、品質のばらつきを抑制しています。

これらの事例に共通するのは「人がやる作業をコードに置き換え、安定・効率・再現性を高める」というIaCの本質です。特別な環境でなくても、日々の業務の中で少しずつ導入を始めることができ、効果を実感しやすいのが特徴です。

インタードリームでは、IaC導入に関するご相談から設計・運用まで幅広くサポートを行っております。IoT端末の展開やその他インフラ自動化のご相談もお気軽にお問い合わせください。

Q&Aで解決:よくある疑問にお答えします

Q1.  IaCはどのような場面での導入が効果的ですか?

同じ構成を何度も繰り返すサーバーやネットワークのセットアップなどに適しています。
特に、構成ミスや属人化を減らしたい現場で効果を発揮します。

Q2. 小規模なシステムでも導入する意味はありますか?

むしろ人手が限られる小規模な環境こそ、IaCによる自動化のメリットが大きくなります。
限られた工数で安定した運用が実現できます。

Q3. IaCと、ただの自動化ツールや手順メモとの違いって何ですか?

IaCは、ただ処理を自動で行うだけでなく「どんな環境をどう作るか」をコードとして残す仕組みです。設定内容をチームで共有したり、同じ構成を何度でも再現できるのが大きな特徴です。

Q4. 導入にあたって、プログラミングのスキルは必要ですか?

特別なプログラミング知識は不要です。
基本的な記述ルール(YAMLやHCLなど)を理解すれば、十分に始められます。

Q5. どのツールを選べばよいか迷っています。

目的に合わせて選ぶのが基本です。
クラウド環境の構成管理にはTerraform、サーバーの構成管理にはAnsibleなど、用途ごとに適したツールがあります。

Q6. オンプレミス環境でもIaCは活用できますか?

クラウドに限らず、オンプレミスでもネットワーク構成や仮想環境の自動化に利用できます。
物理環境との組み合わせでも効果を発揮します。

Q7. セキュリティ面で気をつけることはありますか?

 認証情報やパスワードはコードに直接書かず、環境変数やシークレット管理ツールを使って安全に取り扱うことが重要です。

Q8. チームで運用する際のルールづくりはどうすれば?

Gitを使ったバージョン管理と、コードレビュー体制の構築が効果的です。
命名規則やディレクトリ構成なども事前に統一しておくと混乱を防げます。

Q9. コードを間違えて動作に影響が出たら不安です。

バージョン管理を行っていれば、いつでも以前の状態に戻すことができます。
トライ&エラーがしやすいのもIaCの魅力です。

Q10. 実際に導入するにはどれくらい時間がかかりますか?

小規模な構成であれば、数日〜1週間程度で試験導入が可能です。
段階的に適用範囲を広げることで、現場の混乱を防ぎながら進められます。

まとめ:IaCを自社に活かすために

IaCはITインフラの運用を効率化し、安定性を高める実用的な手法です。設定の標準化や自動化により、日々の負担を減らしながら、誰でも同じ環境を再現できる仕組みをつくることができます。

まずは自社のどこに活用できそうかを見つけ、小さく試してみることが導入の第一歩になります。
小さな成功体験を積み重ねながら、無理なく自社のスタイルに合わせたIaCの活用を進めていきましょう。

専門家サポート

インタードリームでは、AI開発プラットフォーム「ID ZERO」を通じて、IaC導入に向けたご相談から設計・運用まで、現場の状況に応じたサポートを行っています。

「どこから始めればいいかわからない」「自社に合った進め方を知りたい」など、初めての方も具体的な課題をお持ちの方もお気軽にご相談ください。

お問い合わせのご案内

弊社では、IaC活用に向けたご相談や技術支援を通じて、企業様の状況に応じた最適なアドバイスをご提供しております。
ご検討中の方は、ぜひ当社Webサイトのお問い合わせフォームよりご相談ください。

プロのサポートを活用することで、IaCの仕組みを無理なく業務に取り入れ、安定したインフラ体制を築くことができます。

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