2025.07.23
IoTセキュリティの課題と解決策:デバイス管理からデータ保護まで

こんにちは。株式会社インタードリームです。
弊社はオープンソースやデータベースを活用したWebシステム開発をはじめ、AI開発、産業用ロボット・IoTを活用した自動化システムインテグレーションなど、最先端の技術でお客様の「夢」を実現するパートナーとして日々邁進しております。
本ブログでは、弊社が取り組むテクノロジー業界に関する基本情報や最新トピックをご紹介いたします。
さらに各技術の背景や導入メリットについても丁寧に解説しております。
専門的な内容もできるだけ分かりやすい表現で説明し、技術に不慣れな方にもご理解いただけるよう努めております。
ぜひ最後までご覧いただき、弊社の取り組みをご確認いただければ幸いです。
この記事を読めば分かること
- IoTセキュリティの基本的な考え方と現代における重要性がわかる
- 現場で起こりがちなセキュリティリスクと失敗事例を知ることができる
- デバイス管理とデータ保護のための実践的な対策を理解できる
- IoT環境を安全に運用するための、実践的なアプローチが学べる
IoTセキュリティの基本とその重要性
IoT(Internet of Things)とは、「モノ」がインターネットにつながることで、情報のやり取りや自動制御を可能にする技術のことです。
製造業や物流業をはじめとした多くの業界で導入が進んでおり、業務の効率化や遠隔監視などの利便性をもたらしています。
しかし、その裏には見落とされがちなリスクが存在します。それが「IoTセキュリティ」です。
IoT機器が狙われやすい理由とは?
IoT機器は多種多様で、小型・省電力・安価といった特徴がある一方で、セキュリティ機能が限定的であることが多く、脆弱性を突かれやすいという課題があります。これにより、情報漏えいや不正アクセス、さらには業務停止などの深刻な被害が発生するケースも珍しくありません。
IoTは従来のITシステムと異なり、「常時稼働」「設置場所が分散」「管理対象が膨大」といった特性を持っています。例えば、パソコンやサーバーであれば定期的なアップデートや監視が行えますが、IoTデバイスではそれが難しいケースが多く、攻撃されやすい状況が生まれやすいのです。
IoT機器に潜むリスクとよくある落とし穴
初期設定のまま運用される機器
多くのIoT機器は、工場出荷時のまま使用されることがあり、「admin / admin」といった初期ID・パスワードが変更されていないケースが見受けられます。これでは簡単に外部からアクセスされてしまいます。
アップデートが行われないファームウェア
ファームウェアとは、機器を動かすための基本ソフトウェアです。ファームウェアが古いままだと、セキュリティの専門家や開発元がすでに発見・公表している脆弱性(既知の脆弱性)を突かれ、悪意ある攻撃者に狙われるリスクが高まります。
通信経路の暗号化不足
IoT機器がクラウドや他システムと通信する際、暗号化されていない通信を使っていると、通信内容が盗聴・改ざんされるリスクがあります。
管理の属人化や放置状態
誰がどの機器を管理しているのかが不明確な場合、セキュリティ対応が後手に回りやすくなります。
特に、現場側で独自に設置されたIoT機器がIT部門の把握外でネットワークに接続されているケースは注意が必要です。
こうした“見えない機器”は「シャドーIoT」と呼ばれ、セキュリティの抜け穴となるリスクをはらんでいます。
このような問題を放置してしまうと、外部からの侵入、内部情報の漏えい、制御不能による業務停止など、重大な被害に発展しかねません。特に中小企業では「セキュリティよりもまず導入」が優先されがちですが、それが後に大きなリスクとなって跳ね返ってくるのです。
実際に起きたセキュリティトラブルの事例
IoTセキュリティの重要性はわかっていても、「実際にどんな問題が起きているのか」が見えないと対策の優先度が上がらないこともあります。ここでは、製造業・物流業で実際に起きた2つの事例を紹介します。
製造業
ある製造業の工場で、生産設備と連携するIoTゲートウェイが、IDとパスワードを初期設定のまま運用されており、外部から不正アクセスを受けました。生産ラインの一部が停止し、復旧に数日を要する事態となりました。
この影響で生産ラインが一部停止し、復旧には数日を要しました。納期も遅れ、取引先からの信頼に影響が出ました。
物流業
ある物流倉庫で、現場スタッフが温度管理用に市販のIoTセンサーを独自に設置していました。
IT部門には報告されておらず、ネットワークにそのまま接続されたことで、セキュリティ対策が不十分な状態になっていました。
その影響で社内ネットワークが不安定になり、物流システムに遅れが発生。現場にも混乱が広がり、原因の特定にも時間がかかりました。
デバイス管理とデータ保護の実践ポイント
デバイス管理のポイント
機器ごとのID管理
すべてのIoT機器に個別の識別情報(ID)をつけて、誰が・いつ・どこで使っているのかを記録・把握できるようにする。
アクセス制御
使う人や接続先に応じて、アクセスできる範囲を制限する。必要のない人やシステムが勝手に操作できないようにして、不正アクセスを防ぐ。
ファームウェアの定期更新
IoT機器の中にある制御ソフトウェア(ファームウェア)は、脆弱性をふさぐためにも定期的に更新する。ネット経由で自動更新できる機器を選び、更新のタイミングや手順を事前に決めておく。
使用していないポートの無効化
使っていない通信機能や接続口(ポート)は無効にする。不必要なポートを開けたままにしておくと、攻撃者に狙われる可能性が高まる。
データ保護のポイント
通信と保存データを暗号化する
データをやり取りする際は、通信内容が盗み見られないように暗号化する。保存するデータも暗号化しておくことで、万が一外部に漏れても中身を読まれにくくなり、情報漏えいのリスクを減らすことができる。
操作や通信のログを記録・監視する
誰がどの機器を使い、どのような操作をしたのかを記録するログを取得し、不審な挙動があればすぐに検知できるようにする。
データの保存先と管理ルールを明確にする
収集されたデータがどこに保管されているかを把握し、アクセス権限やバックアップの運用ルールを定めておく。
これらの対策は、一見手間に感じられるかもしれませんが、あらかじめ仕組みを整えておくことで、
後々のトラブルや対応コストを大幅に抑えることができます。
インタードリームの「ID ZERO」では、現場のIoT機器と連携しながら、AI処理や周辺プログラムの運用を支援する仕組みを提供しています。多くの機器を扱う環境でも、運用の手間を減らし、安全な体制づくりをサポートします。
導入時に考えるべき設計と運用の工夫
IoTセキュリティは、運用中の対応も重要ですが、「導入前の設計段階」でどれだけ備えられるかが安全性を大きく左右します。設計フェーズでの対策は、後々のトラブルを防ぐ“保険”であり、長期的な運用コストを抑える鍵でもあります。
導入前に備えておきたい設計ポイント
ゼロトラストの考え方を取り入れる
ゼロトラストとは、「すべての通信を信用せず、必要なときだけ限定的に許可する」というセキュリティの方針です。IoT環境でも、機器同士の通信を明示的に制御することで、不正なアクセスの拡大を防げます。
ネットワークを分けてリスクを最小化する
IoT専用のネットワークを業務ネットワークから切り離すことで、被害が起きても影響範囲を最小限に抑えられます。物理的にも論理的にも分ける設計が効果的です。
万が一に備えた冗長性を持たせる
セキュリティ対策によって業務が止まってしまうのは本末転倒です。通信遮断や機器故障に備えて、バックアップや手動対応の手順をあらかじめ整えておきましょう。
チェックリストで日常点検をルール化する
設定ミスや更新忘れを防ぐために、定期的な点検ルールを設けましょう。月次や四半期ごとに確認できるチェックリストを用意するだけでも、トラブルの予防につながります。
ITと現場の情報共有を仕組みにする
IT部門と現場部門が別々に動いていると、対応の抜け漏れや責任の曖昧化が起こりやすくなります。
ルールや管理責任を共有し、「動かす」と「守る」の両面から連携できる体制を整えることが重要です。
Q&Aで解決:よくあるご質問にお答えします
Q1. IoT機器にセキュリティ対策は必要ですか?
必要です。
インターネットにつながっていない機器でも、社内ネットワークを通じてリスクが広がる可能性があります。すべてのIoT機器に対して、基本的なセキュリティ対策は必要です。
Q2. 古いIoT機器も対象にすべきでしょうか?
アップデートができない古い機器は、既知の脆弱性を突かれるリスクが高くなります。
可能であればネットワークから切り離すか、物理的に管理を強化しましょう。
Q3. 暗号化や認証はどこまで必要ですか?
通信の内容が外部に漏れないようにするには、暗号化が欠かせません。
たとえば、通信中の情報には「TLS」と呼ばれる仕組み、保存するデータには「AES」といった方式が使われます。また、IDとパスワードだけでなく、多要素認証(MFA)を組み合わせることで、不正アクセスのリスクをさらに下げることができます。
Q4. 専用のセキュリティ製品を導入するべきですか?
専用製品の導入は効果的ですが、まずは自社でできる基本対策(ID管理・更新・ネットワーク分離など)をしっかり整えることが優先です。
Q5.IoTセキュリティ対策には、それなりのコストがかかりますか?
最近では初期費用を抑えながら始められる対策も増えています。
基本的な管理や暗号化、ネットワーク分離などは比較的低コストで導入可能です。
Q6. セキュリティ対策はどこから始めればよいですか?
まずは、どのIoT機器がネットワークに接続されているかを棚卸しするところから始めましょう。
機器の把握ができれば、優先順位をつけた対策が可能になります。
Q7. どこまでの範囲をセキュリティ対象にすればいいですか?
IoTデバイス単体だけでなく、接続するネットワーク、サーバー、クラウド環境も含めて対策を検討する必要があります。
全体の構成を俯瞰して、抜けのない設計を目指しましょう。
Q8. 一度導入すれば、そのまま放置しても大丈夫ですか?
セキュリティ対策は一度導入して終わりではなく、更新や監視を継続することが重要です。
定期的な点検やログ確認を習慣化することが、安全な運用につながります。
Q9. 外部とクラウド連携している場合、追加の対策は必要ですか?
クラウドと連携する場合は、通信の暗号化やアクセス制御に加えて、クラウド側の設定やログ監視も重要になります。
データの流れを可視化し、外部との境界を明確に管理しましょう。
Q10.社内に対応できる人がいない場合はどうすればいいですか?
社内に専門人材がいなくても、信頼できる企業に相談・委託することで、安全なIoT環境を整えることは十分に可能です。
まとめ:IoTセキュリティ対策を自社に活かすために
IoTは、業務効率化や新たなビジネス価値の創出に大きな可能性を秘めています。
しかし、その力を発揮するためには「便利さの裏にあるリスク」を正しく理解し、セキュリティを前提とした運用体制を整えることが不可欠です。
まずは、自社ネットワークに接続されているIoT機器の棚卸しから始めてみてください。
「何がつながっているか」が見えるだけでも、次に取るべき対策が明確になります。
専門家サポート
インタードリームではIoT機器のセキュリティ設計や管理体制の構築を、「ID ZERO」という独自のプラットフォームとともにご支援しています。要件定義・設計の初期段階から、運用ルールやチェック体制の構築まで、無理なく現場にフィットする仕組みづくりをご提案いたします。
IoTセキュリティは「一度やれば終わり」ではなく、継続的な点検と運用の仕組み化が鍵です。
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