2025.07.09
セキュリティを考えたソフトウェア開発:基本概念と導入のポイント

こんにちは。株式会社インタードリームです。
弊社はオープンソースやデータベースを活用したWebシステム開発をはじめ、AI開発、産業用ロボット・IoTを活用した自動化システムインテグレーションなど、最先端の技術でお客様の「夢」を実現するパートナーとして日々邁進しております。
本ブログでは、弊社が取り組むテクノロジー業界に関する基本情報や最新トピックをご紹介いたします。
さらに各技術の背景や導入メリットについても丁寧に解説しております。
専門的な内容もできるだけ分かりやすい表現で説明し、技術に不慣れな方にもご理解いただけるよう努めております。
ぜひ最後までご覧いただき、弊社の取り組みをご確認いただければ幸いです。
この記事を読めば分かること
- セキュリティを前提にしたソフトウェア開発の考え方と必要性が理解できる
- システム開発でよくあるセキュリティリスクと、基本的な対策方法が学べる
- 開発工程ごとに、セキュリティをどう取り入れるべきかがわかる
- 自社でも実践しやすい導入ステップや体制づくりのヒントが得られる
ソフトウェア開発におけるセキュリティの基本概念
近年、情報漏えいや外部攻撃による業務停止が企業に深刻な影響を与えるケースが増えています。
こうした背景から、ソフトウェア開発においても「セキュリティはあとで考えるもの」ではなく、「最初から設計に組み込むべき前提」として扱うことが重要になっています。
セキュリティ・バイ・デザイン
セキュリティは後付けではなく、最初から設計に組み込むべきだというこの発想は、セキュリティ・バイ・デザイン(Security by Design)と呼ばれます。
例えば、家を建てるとき、設計段階から鍵や防犯ガラスを考えるように、ソフトウェアでも初期の設計から“守る仕組み”を取り入れておくことが大切です。
セキュリティの基本3原則とは?
セキュリティを考えるうえで、まず押さえておきたいのが“何を守るか”という視点です。ここでは、その基盤となる3つの原則を紹介します。
機密性(Confidentiality)
大事な情報が、見るべきでない人に見られないように守ることです。
例えば、顧客情報が誰でも閲覧できる状態になっていれば、それは機密性が守られていないということになります。
完全性(Integrity)
データが勝手に書き換えられたり、不正に操作されたりしないようにすることです。
取引金額が不正に変更されるなどの事態を防ぐためには、記録の正しさを保つ仕組みが必要です。
可用性(Availability)
必要なときにシステムが正常に動き、使える状態になっていることです。
例えば、サーバーダウンや攻撃によってアクセスできない時間が続くと、業務に大きな影響を与えてしまいます
この3つのバランスを意識しながら設計・開発を行うことが、長く使える、信頼性の高いソフトウェアづくりの第一歩になります。
安全なソフトウェア開発のための基本方針
セキュリティを強化するには「個人の注意」に頼るのではなく、組織としての基本方針を整えることが欠かせません。特にプロジェクトがチームや外部パートナーと連携して進む場合は、ルールや役割の不明確さがセキュリティホールにつながりかねません。
責任分担の明確化
セキュリティに関わる対応項目(認証設計、ログ管理、脆弱性対応など)について、誰がどこまで関与するのかをはっきりさせましょう。属人化を防ぎ、トラブル時にもスムーズに対応できる体制がつくれます。
早期のリスク洗い出し
開発初期の段階で、どの情報が重要で、どこにリスクが潜んでいるかを整理します。
例えば「誰がどのデータにアクセスできるか?」という可視化ができていないと、不正アクセスや内部不正の見落としにつながります。
社内ガイドラインの共有
設計・実装・レビューに関するルールをチームで共有しておくことで、品質のばらつきや“言った言わない”のトラブルを防げます。
例えば、安全な書き方をまとめたルール(セキュアコーディング規約)や、実装時に確認すべきポイントを整理したチェックリスト、万が一に備えて記録を残すためのログ設計の方針などが含まれます。
外部委託先への明確な要件提示
開発を外注する場合でもセキュリティ対策を“おまかせ”にせず、契約書や仕様書に求める要件(データの取り扱い、ログ保存、第三者アクセス制限など)を明記しておくことが不可欠です。
リスクに備える工夫と技術の選定ポイント
よくあるリスクとその対策
SQLインジェクション
ユーザーが入力した内容を、そのままデータベース操作の命令文(SQL)に入れてしまうと、悪意ある入力によって本来見せてはいけない情報まで表示されたり、削除されたりしてしまうことがあります。
対策
ユーザーの入力をそのまま命令に使わず、データと命令をきちんと分けて処理する仕組みを使うことが大切です。これにより、どんな内容が入力されても、意図しない操作をされる心配がなくなります。
クロスサイトスクリプティング(XSS)
掲示板や検索フォームに、JavaScriptのような不正なコードが仕込まれると、別の人がページを見たときにそのコードが実行されてしまう危険があります。
対策
表示する前に、不正なコードを“無害化”する処理(エスケープ)を行うことが重要です。
セッションハイジャック
ユーザーがログインして操作している状態を悪用し、なりすましによる不正操作が行われるケースです。
対策
HTTPSの利用、セッションの有効期限設定、ログアウト処理などで安全性を高めます。
技術を選ぶときのポイント
認証・認可の方式
ログインやアクセス権の仕組みは、信頼できる標準プロトコル(OAuthやOpenID Connectなど)を使うことで、より安全で管理しやすくなります。
アクセス権の管理(RBAC)
「誰がどこまで操作できるか」を、役割ごとに明確に設定する仕組みです。誤操作や内部不正の防止にもつながります。
パスワードの保護
仮に漏れてしまってもすぐに悪用されないよう、暗号化したうえで保存するのが基本です。
セキュリティを組み込む開発の進め方と導入ステップ
セキュリティ対策を「あとで考えること」や「別の作業」として扱ってしまうと、つい後回しになりがちです。実際には、開発そのものの流れに“守るための工程”を自然に組み込むことが、確実で持続的な対策につながります。
ここでは、開発プロセスの各ステップにおいて、どのようにセキュリティを取り入れていくかを具体的に見ていきましょう。
セキュリティを開発プロセスに組み込む導入ステップ
要件定義
最初の段階で「何を守るか(個人情報、業務データなど)」を明確にしておくことが重要です。
どんな脅威が想定されるか、誰がどの情報にアクセスするかを整理します。
設計
守るべき情報に対して、どのような手段で守るかを具体化します。
例えば、アクセス権限の設計、ログの取り方、暗号化方式の選定などがこの段階で決まります。
実装
コーディング中には、セキュリティを意識した書き方(セキュアコーディング)を行いましょう。
あわせて、チェックリストやコードレビューで抜け漏れを防ぎます。
テスト
セキュリティ診断ツールを使って、脆弱性がないかを確認します。
外部の診断サービスを利用することも有効です。セキュリティだけに特化したテストを入れることで、問題の早期発見につながります。
運用
本番環境に移行したあとも、定期的にログを確認したり、ライブラリの脆弱性をチェックしたりする作業が必要です。
セキュリティは“導入したら終わり”ではなく、“育てていくもの”です。
DevSecOpsという実践手法
セキュリティ・バイ・デザインが“最初から守ることを考える”という考え方だとすれば、DevSecOps(デブセックオプス)は、その考えをスピード重視の開発現場でも実践するための手法です。
DevSecOpsは、開発(Dev)と運用(Ops)の流れに、セキュリティ(Sec)をあらかじめ組み込んでおくという考え方です。
アジャイル開発やCI/CDのように、短期間で機能を繰り返し追加・更新するスタイルでは、後からまとめてセキュリティ対策をするのは難しくなります。
“後回しにする”のではなく、“最初から組み込んでおく”ことで、スピードと安全性の両立ができるようになります。
セキュリティ導入に向けた、インタードリームのサポート
インタードリームでは、設計段階におけるセキュリティ要件の整理や、チェック体制の設計支援といったご相談に対応しています。
また、アジャイル開発や小規模チームの現場でも、セキュリティ対策が無理なく開発プロセスに組み込めるよう、仕組みや運用方法の整備もご提案しています。
Q&Aで解決:よくある疑問にお答えします
Q1. セキュリティは、なぜ最初に考える必要があるんですか?
後からの対策は手間もコストも大きくなります。
最初から設計に組み込むほうが、安心して開発を進められます。
Q2. 小さなシステムでも対策は必要ですか?
小規模なシステムは「守りが手薄だと思われやすく」、攻撃者にとっては狙いやすい対象です。
最低限の対策だけでも導入しておくことで、大きなトラブルを防ぐことができます。
Q3. まずは何から始めればいいですか?
「どんな情報を扱っているか」「誰がアクセスできるか」を整理することが第一歩です。
たとえば、顧客情報、従業員の勤怠データ、請求情報、製造設備の稼働ログなど、業務の中で扱っているデータや操作権限を棚卸しすることから始めましょう。
Q4. コストを抑えて最低限の対策をしたいのですが、どうすればいいですか?
認証まわり(ログイン、パスワード)、アクセス制御、ログ保存などが優先順位の高いポイントです。
Q5. 社内に対応できる人がいない場合はどうすればいいですか?
無理に内製しようとせず、外部の専門家と連携しながら進める方が現実的です。
責任範囲や要件を明確に共有しておけば、安心して進められます。
Q6. 社内でセキュリティ意識を高めるには、どうすればいいですか?
難しい取り組みでなくても大丈夫です。
まずはチェックリストや定期的な声かけなど、“気づき”を日常に組み込む工夫が効果的です。
Q7. システムを運用しながらセキュリティを見直すには?
定期的なログ確認や、ソフトウェアの更新チェックを習慣にすることが大切です。
無理のない頻度で継続しましょう。
まとめ:セキュリティを考慮した開発を自社に活かすために
セキュリティは、特別な機能やオプションではなく、安心してサービスを届け、信頼を積み重ねながら事業を継続していくための土台です。
たとえ目に見えにくくても、その“見えない基盤”があることで、トラブル時の被害を最小限に抑えたり、顧客との関係を守ったりすることができます。
まずは、今のシステムにどんな情報が含まれているかを確認することから始めてみてください。
それだけでも、次の一歩が明確になります。
専門家サポート
インタードリームの「ID ZERO」では、専門家のサポートを通じて、システム開発の支援を行いながら、セキュリティを意識した開発体制づくりをサポートしています。
要件定義や設計の初期段階からご相談いただけますので、自社でのセキュリティ対応に不安がある場合も、どうぞお気軽にお問い合わせください。
お問い合わせのご案内
弊社では、セキュリティを意識したシステム開発のご相談をはじめ、開発初期の要件整理や設計段階での対策支援など、企業様の実情に応じたサポートを行っております。
セキュリティの導入や強化をお考えの際は、ぜひ当社Webサイトのお問い合わせフォームよりご相談ください。
専門的な視点からアドバイスを受けることで、リスクを最小限に抑え、将来を見据えた開発体制を整えることができます。
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オープンソースを基盤としたシステム開発、AIやロボット、IoTを駆使した自動化ソリューション、そしてWebシステムの保守運用など、多岐にわたる分野で実績を積み重ねております。
技術に関するご相談や導入事例の詳細についてはどうぞお気軽にお問い合わせください。
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